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コラム
和田会計から税務についての情報をお届けします。

税務調査

2024.09.18

法人の税務調査はどこまで?介入確率は?指摘事項や当日の流れについてチェック

税務調査は適正な申告を促すために行われるものであり、必ずしも不正を疑われているわけではありません。

 

しかし自分は不正をしていないと思っていながらも、税務調査のお知らせがあるとドキッとしてしまいますよね。

 

税務調査では、適切な申告と誠実な対応を心がけることが重要です。今回は法人の税務調査にフォーカスし、指摘されやすい項目や当日の流れについて紹介します。

 

税務調査って何?法人にも関係あるの?

税務調査とは、税務署が法人や個人の申告内容が正しいかどうかを確認するために行う調査です。

 

法人税、所得税、消費税などの申告内容を確認します。

 

法人の税務調査が入る確率とは


法人に対する税務調査の確率は、最新の統計によると約2.0%程度です。

 

これは、概ね50年に1回程度の頻度で税務調査の対象として循環してくることを意味します。

 

ただし、この確率は平均的な数値であり、企業の規模や業種、過去の調査履歴などによって変動します。

 

たとえば過去に税務調査で不正が指摘された法人、売上や利益の変動が大きい法人、特定の業種(風俗業、飲食店など)に属する法人は、調査対象になりやすいとされています。

 

税務調査が入りやすい法人とは?


以下のような法人は、税務調査が入りやすいと言われています。

 

・売上や利益の変動が大きい法人

・同業他社と比べて利益率が低い法人

・特定の業種に属する法人

・事業規模が大きい法人

・内部告発があった法人

・黒字から赤字に転じた法人

・過去に税務調査で指摘を受けたことがある法人

・消費税の還付申告をしている法人

 

ここでは専門的な用語を用いて、詳しく解説します。

 

1.継続管理法人

継続管理法人とは、税務調査の対象として特に注意深く管理される法人のことを指します。

 

なかでも過去の税務調査で申告漏れや不適切な経理処理などの問題が見つかった法人は、その後の改善状況を確認するために継続的に管理されます。

 

また取引が複雑な法人は、税務上のリスクが高いとみなされ、継続的な管理対象となることも。

 

そのほかにも売上や利益が急激に変動している法人は、その要因を確認するために継続的に管理される可能性があります。

 

このような継続管理が行われる背景には、過去の指摘事項に対する改善状況を確認するため、一定期間継続して注意深くみられていると考えられます。

 

継続管理法人に指定されると、通常よりも頻繁に税務調査が行われる可能性が高くなります。

 

そのため、適切な税務申告と経理処理を行い、問題点の改善に努めることが重要です。

 

2.循環接触法人

循環接触法人は継続管理法人とは異なり、実際の税務調査で不正が発覚したわけではありません。

 

あくまでも疑いがあるという段階です。

 

なぜ疑いの目を向けられているかというと、以下のような観点が理由に考えられます。

 

・取引内容や会計処理に不審な点が多い法人

・税務調査の際に不正への加担が疑われる法人

・取引の透明性や正確性に疑問がある法人

・税務署が継続的に監視が必要だと判断した法人

 

循環接触法人に指定されると、税務調査の頻度が高くなる可能性のほか、より詳細な調査の対象となる可能性があることを覚えておきましょう。

 

さらに税務署からの注目度が高まるので、より細かくチェックされていると考えられます。

 

循環接触法人に指定されても、適切な対応と改善努力により、将来的に通常の扱いに戻ることも可能です。

 

3.周期対象除外法人

周期対象除外法人とは、以下のような特徴を持つ法人のことを指します。

 

・通常の定期的な税務調査の対象からは外れている法人

・申告や納税に特に問題はなく、不正の疑いもない法人

 

いわゆる不正を前提とした疑いの税務調査ではなく、監査的な意味合いが強いです。

 

・経営者の交代

・事業規模の大きな変化

・事業内容の大幅な変更

 

このようなタイミングで対象になることが多いとされています。

 

このタイミングで国税庁の認識は、以下のようなことが想定されます。

 

・過去の税務調査で不正が発見されたわけではない

・継続管理法人や循環接触法人とは異なり、不正の疑いは薄い

・経営環境や事業内容の変化により、申告内容を確認する必要があると判断された

・10年近く実地調査が行われないケースもある

 

一方で周期対象除外法人であっても、経営環境や事業内容に大きな変化があった場合には税務調査の対象となる可能性があります。

 

そのため日頃から適切な会計処理と正確な申告を心がけることが重要です。

 

まずはご相談だけでも、お気軽にお寄せください。

法人の税務調査は事前連絡があるものが一般的!種類も併せて理解しよう


法人の税務調査には主に以下の種類があり、事前連絡がある任意調査が一般的です。

 

ほとんどの法人税務調査はこの形で行われます。

 

 

事前に連絡があるため、必要書類の準備や税理士との打ち合わせなど、余裕を持って対応することができます。

 

 

ただし無予告調査の可能性もあるため、日頃から帳簿や書類を適切に管理し、いつでも調査に対応できる体制を整えておくことが重要です。

 

1.強制調査

 

・悪質な脱税が疑われる場合に実施

・裁判所の令状に基づいて行われる

・国税局査察部が担当

・事前連絡なしで突然行われることが多い

 

察部(通称マルサ)が担当し、裁判所の令状に基づいて行われます。

 

その名の通り、事前連絡なしで突然実施されて、極めて違法性が高い状態であることが疑われています。

 

所有物の捜索や差し押さえや証拠物の押収がされるので、脱税行為が確認された場合、検察庁に告発され、刑事事件として処理されます。

 

一方で年間の実施件数は非常に限られています。たとえば、令和3年度は、36件の強制調査が行われました。

 

2.任意調査

 

・事前に税務署から連絡があり、日程調整が可能

・通常1〜3週間前に事前通知がある

・調査の日時、場所、目的、対象税目、対象期間などが通知される

 

税務署が納税者の協力のもとに行う一般的な税務調査です。

 

強制力はありませんが、納税者には協力義務があります。

 

申告内容の正確性を確認していると言われており、不正や誤りを正すために行います。

 

適正な納税の促進を目的としているので、それほど怯える必要はありません。

 

準備調査

納税者に直接接触せずに行われることが多いので、机上調査とも呼ばれています。

 

準備調査の結果に基づいて、実地調査の必要性を判断するほか、実地調査を行う場合の重点項目を判断している見方が強いです。

 

実地調査

税務署の調査官が納税者の事業所や自宅などに直接訪問して行う調査です。

 

国税通則法では「実地の調査」と呼ばれています。

 

原則として、調査開始前に納税者に対して事前通知が行われるのが一般的ですが、違法行為の隠蔽や証拠隠滅のおそれがある場合など、事前通知なしで行われることも。

 

通知内容には調査の日時、場所、対象税目、調査目的などが含まれます。

 

実地調査は、税務当局が納税者の実際の事業状況や経理処理を直接確認できる重要な手段として位置づけられています。

 

3.無予告調査

 

・事前連絡なしで実施される調査

・証拠隠滅などの恐れがある場合に行われる

・任意調査の一種だが、突然の訪問となる

 

強制調査と勘違いされるのが、この無予告調査です。

 

事前連絡なしで突然行われる税務調査になります。

 

通常の任意調査の一種ですが、予告なしで実施されます。

 

国税通則法第74条の9および第74条の10に基づいて事前通知すると調査の目的が達成できない可能性がある場合や緊急に調査を行う必要がある場合に限られます。

 

無予告調査は、通常の税務調査よりも緊張感の高い調査となりますが、適切な経理処理と誠実な対応を心がけていれば、大きな問題にはならないでしょう。

 

日頃から正確な記帳と適切な申告を行うことが重要です。

 

税務調査はいつどのように連絡が来る?


通常、調査開始の1〜3週間前に連絡が入ります。

 

一般的には、税務調査の2週間から3週間程度前に事前通知があることが多いです。

 

原則として電話による口頭での通知が行われます。

 

電話による連絡が困難な場合は、書面での事前通知が行われることもあります。

 

税務調査の流れについて

税務調査の一般的な流れは以下のようになります。

 

(1)事前通知

税務署から調査の1〜3週間前に電話で連絡があります。

 

調査の日時、場所、目的、対象税目、対象期間などが通知されるでしょう。

 

なお、任意調査の場合は、日程調整が可能な場合もあります。

 

(2)準備

帳簿や領収書、契約書などを調査しやすいように整理しておきます。

 

顧問税理士との事前打ち合わせや対応者の決定、役割分担などをあらかじめ決めておくようにしましょう。

 

(3)実地調査

通常2日程度で行われます。

 

事業概要のヒアリングのほか、帳簿書類の確認します。

 

売上・経費の計上時期や金額の不正がないか、記帳漏れがないかもチェックされます。

 

 

税務調査官から質問されることもあるので、質問された内容だけ回答するようにしましょう。

 

 

(4)調査結果の通知

調査終了から1週間〜3ヶ月程度で結果が通知されます。

 

問題がなければその旨も通知されます。

 

一方、問題があれば修正申告などの対応が求められます。

 

税務調査の範囲も理解して正しく対応しよう

税務調査の範囲について、以下のポイントを理解しておくことが重要です。

 

事業を行っている場合の対象税目について

 

法人税

法人の所得に対して課される国税です。

 

消費税

商品やサービスの販売に対して課される国税です。

 

年間売上高が1,000万円を超える事業者が課税対象となります。

 

法人事業税・法人住民税

法人の所得等に対して課される地方税です。

 

源泉所得税

給与所得者を雇用している場合、給与から天引きする所得税です。

 

印紙税

契約書や領収書などの文書に対して課される国税です。

 

業の形態や規模、業種によって適用が異なる場合があります。

 

税務調査では、これらの税目について申告内容の正確性や適切な納税が行われているかが確認されます。

 

対象期間は、基本的に3年間

税務調査の対象は通常、過去3年間です。

 

この期間が最も一般的で、多くの調査はこの範囲内で終了します。

 

調査範囲の資料について

帳簿書類の確認

・総勘定元帳

・仕訳帳

・現金出納帳

・売掛帳

・買掛帳などの会計帳簿

・決算書

・確定申告書

・勘定科目内訳書などの決算・申告関係書類

・固定資産台帳

・棚卸資産の明細書

 

取引関係の証憑類

・請求書

・領収書

・納品書

・契約書などの原始証憑

・銀行取引明細

・クレジットカード利用明細

 

会社情報関連

・会社案内

・組織図

・株主名簿

・株主総会

・取締役会議事録

 

給与関係

・給与台帳

・源泉徴収票

・社会保険関係書類

・就業規則

・給与規程

 

電子データ

・会計ソフトのデータ

・業務に関連するパソコン内のファイル

 

その他

・預金通帳

・小切手控え

・業務日誌

・稟議書

・取引先との往復文書

 

調査官は、これらの資料を3〜7年分程度確認することがあります。

 

また、必要に応じて関連する取引先への反面調査を行うこともあります。

 

税務調査に備えて、これらの資料を適切に整理・保管し、迅速に提示できるよう準備しておくことが重要です。

 

法人が税務調査で指摘されやすい項目と対策

日頃から正しく記帳することで、税務調査の際も慌てずに対応しやすくなります。

 

また税務調査での指摘リスクを低減し、適切な税務申告を行うことができるでしょう。

 

売上

特に期末近くの売上が翌期に繰り越されていないかチェックされます。

 

また現金取引の売上が適切に計上されているか注目されます。

 

さらに実際の売上金額より少なく計上していないかも確認されます。

 

不審に思われやすいケースでは、前年比で大きな売上変動がある場合です。

 

なぜ売上が大きく変動したのか理由を説明できるようにしましょう。

 

売上は税務調査の重要なポイントであるため、日頃から正確な記帳と証憑の管理を心がけ、必要に応じて税理士などの専門家に相談することが重要です。

 

仕入

仕入金額が過大に計上されていないか確認されます。

 

同業他社と比較して不自然に高額な仕入がないかもチェックされるので、覚えておきたいポイントです。

 

細かいようですが、実在する取引先であるかも入念に見られています。

 

架空仕入がないか、仕入先の実在性や取引の実態などもチェック。請求書や納品書などの証憑書類と帳簿の整合性なども確認されます。

 

また仕入と在庫の動きが整合しているかも確認されます。

 

経費

領収書や請求書などの証憑書類が適切に保管されているか確認されます。

 

また本当に経費の内容が事業に関連しているかも調査されるでしょう。

 

 

同業種他社と比べて異常に高額な経費がないか、個人的な支出が事業経費として計上されていないか、事前に確認しておくことが大切です。

 

 

資産計上に漏れがないか

少額の備品や設備を経費処理せず、固定資産として計上すべきものがないか、リース資産の計上漏れがないかもチェックされているほか、建物付属設備や構築物の計上漏れがないかまで調査対象です。

 

また形がない無形財産も調査の対象です。

 

たとえば、ソフトウェアの資産計上漏れがないか、特許権や商標権などの知的財産権の計上漏れがないかまで入念にチェックしましょう。

 

役員報酬や給与など

役員報酬や従業員給与が適正な金額か確認されます。

 

たとえば役員報酬が適正な金額か役員賞与の支給基準や金額が妥当かどうかも見られていると覚えておきましょう。

 

また日頃から意識しているものではないですが、退職金も調査の対象になります。

 

退職金の支給基準が適切か、過大な退職金の支給がないかも調査しましょう。

 

消費税について

申告内容の適正性が確認されます。適切な記帳と証憑管理を行い、必要に応じて税理士等の専門家に相談することが重要です。

 

 

不動産取引や金融取引など、非課税取引と課税取引の区分が適切に行われているか確認されます。

 

また軽減税率(8%)が適用される商品と標準税率(10%)が適用される商品の区分が正確か確認されます。

 

2023年10月以降は、適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件となるため、その対応状況がチェックされます。

 

期限を過ぎた届出書がないか

期限後に提出された届出書がある場合、その理由を確認し、やむを得ない事情があったかどうかを説明できるようにしておくことが重要です。

 

また今後、同様の遅延が発生しないよう、届出書の提出期限管理を徹底することが求められます。

 

なお、一部の届出書については、やむを得ない事情がある場合に限り、事後的に承認を受けられる特例措置がありますが、単なる提出忘れは「やむを得ない事情」には該当しません。

 

源泉所得税

給与や賞与から適切に源泉徴収されているか確認されます。

 

また報酬・料金等の支払いで源泉徴収が必要なものに漏れがないかも確認されます。

 

印紙税

契約書や領収書等の課税文書に漏れなく印紙が貼付されているか確認されます。

 

また近頃主流になっている電子契約の場合、印紙税はかかりません。

 

役員貸付金の処理について

長期間返済されず利息の計上もない場合、役員賞与と指摘される可能性があります。

 

無利息または低利息の場合、適正な利息との差額が役員給与として課税される可能性も。

 

また役員賞与と認定されると、法人側で損金不算入、役員個人側で所得税・住民税の課税対象となります。

 

法人税務調査のよくある質問について


法人の税務調査について、よくある質問についてまとめました。

 

Q.税務調査の通知から実施までの期間はどのくらいですか?

通常2〜3週間程度です。この間に必要書類の準備などを行います。

 

Q.税理士に立ち会ってもらった方がいいですか?

可能であれば税理士に立ち会ってもらうことをお勧めします。専門的な質問への対応や、適切な説明ができるためです。

 

Q.税務調査の期間はどのくらいですか?

規模にもよりますが、一般的に1〜3日程度です。大規模法人の場合はさらに長期になることもあります。

 

税務調査についてお困りの方は富士市の和田会計へ


税務調査は適正な納税を確認するためのものです。

 

日頃から正確な経理処理と記録保持を心がけ、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

 

法人の税務調査にお困りの方は、ぜひ富士市にある和田会計にお任せください。

 

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