2024.10.03
個人事業主の開業時にやることって?必要な準備と確定申告をスムーズに終わらせるポイント
起業したい場合に、視野にはいってくる選択肢として個人事業主と法人があります。
まだ売上のめどがそれほど立っていない場合は、個人事業主としての開業がおすすめです。
法人化と個人事業主では、必要な準備がそれぞれ異なります。
今回は個人事業主として開業する流れと、確定申告をする上でのポイントを詳しく紹介しましょう。
まずは開業時に個人事業主がやるべきことについて紹介しましょう。
事業計画書作成は個人事業主にとって法的な義務ではありませんが、事業の方向性を明確にし、課題を洗い出すのに役立ちます
この事業内容の計画をきちんとしておくことで、開業時の融資に有利に働くこともあります。
個人事業主は開業したあとも事業計画は定期的に見直し、実績と照度を合わせて修正していくことが重要です。
個人事業主は国民年金と国民健康保険に加入する必要があります。
会社員のときは社会保険に加入していたと思われますが、退職時には脱退が必要です。
なお、会社を退職した日から14日以内に手続きを行う必要があります。
副業が禁止されているか確認するようにしましょう。
のちの課税で副業が発覚した場合にペナルティになることがあるからです。
また会社独自に副業への決まりを定めていることがあります。
副業に関する届出や許可の必要性を確認しましょう。
開業届の正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類です。
これをお住まいの管轄にある税務署に提出します。
決まったフォーマットに記入すれば、郵送でも受け付けてもらえます。
さらに近頃はe-Taxによる電子申請も認められています。
タイミングとしては、事業開始から1ヶ月以内に提案することが推奨されています。
ただし、提出が遅れても罰則はありません。
事業の信用度が高められるほか、開業届の際にもらう控えは創業融資やオフィス契約の審査に必要となります。大事に保管しましょう。
青色申告をするためには、「開業届」と「青色申告承認申請書」の両方を税務署に提出する必要があります。
青色申告承認申請書は、原則として事業開始から2ヶ月以内、または青色申告をしようとする年の3月15日までに提出することが求められているので注意しましょう。
税制上の優遇措置として、青色申告には最大65万円の青色申告特別控除があるのが魅力です。
一方で青色申告は原則、複式簿記による記帳が必要になります。
届出が必要のない白色申告の場合は、最大65万円の青色申告特別控除のような控除を受けることができません。
しかし白色申告は確定申告書と収支内帳簿だけの提出でよいので確定申告が簡素になります。
ところが白色申告の場合、経費として認められる範囲が限定されていることに注意しましょう。
個人事業主の場合、青色申告を選択し「青色事業専従者給与」の届出をする必要があります。
家族従業員への給与を経費として使えるため、所得税・住民税の負担を軽減できます。
事業の規模や業務内容に応じて本当に家族の力が必要か検討しましょう。
事業内容によって必要な許可が異なるため、まず自身の業種に必要な許可を確認します。
自分のやりたい業種では、どのような届出が必要か下調べしたり行政に尋ねるようにしましょう。
事業所や設備に関する基準がある場合、それらを満たしているか確認します。
また許可取得までの期間を確認し、開業までに間に合うかも逆算しておきましょう。
許認可を受けるための申請先は、それぞれ異なります。
国や都道府県、市区町村への申請を忘れずにチェックしておきましょう。
この際、手数料なども下調べできるとよいですね。
開業時にはオフィスを借りたり、当面の運転資金を確保するなど何かとお金が必要になります。
このため融資を検討することもあるでしょう。
創業融資や小規模事業者向け融資など、目的別の制度がある「日本政策金融公庫」や信用金庫、銀行なども検討しましょう。
できるだけ金利が低く手元に残るお金が増えるような借入先を見つけられると安心です。
プライベートと事業の支出を明確に分けられる点で、事業用の口座を持っておくのが安心です。
一方で法人と違い、これは義務ではありません。
屋号付き口座の開設には、開業届の提出など追加の手続きが必要な場合があります。
事前に個人事業主として開業したこと、どのような書類が必要なのか銀行に確認してみましょう。
Webサイトをもつことで事業内容やサービスを詳細に伝えることができ、顧客とのコミュニケーションが促進できるでしょう。
場合によってはSEOなどをはじめとするマーケティング対策ができます。
またしっかりと事業内容が書かれているので、信頼性を高めることも可能です。
そして忘れてはならないのが名刺です。名刺は初対面での印象を考慮する重要なツール。
連絡先や略歴、自分の得意分野を記しましょう。
開業をしたあとも、日々の取引を正確に記録します。
青色申告の場合は複式簿記での記帳が必要です。
また事業をする上で必要な物品やサービスにおいては、領収書や請求書をまとめておくと経費として申請することが可能です。
すべての取引の資料を所持して保管しましょう。
また電子取引データの保存も必要です。
確定申告は、申告期間が通常2月16日〜3月15日です。
日頃から確定申告にむけて準備をしていないと、申告時期に慌ただしくなります。
事前に頼れる税理士を探しておいたり、しっかりと知識をつけておくことが大事になります。
電子申請ができるe-Taxも便利です。
e-Taxの場合は年始から申請することができ、ある場合は還付金を受け取る時期が早まります。
e-Taxで確定申告を行う際は、通知カードではなく写真が入ったマイナンバーカードが必ず必要になります。
マイナンバーカードを所持していない場合は、はやめに作っておくようにしましょう。
仕入税額控除を受けるには、適格請求書(インボイス)の保存が必要になります。
この際に必要となる適格請求書を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」として登録した事業者のみです。
適格請求書には、発行事業者登録番号、適用控除、税額などの記載が必要です。
一方で消費税を課税売上が1,000万円以下でも納税必要があるなど、デメリットもあります。
ここで悩むのがインボイス制度を使う課税事業者として事業をやっていくかどうかです。
メリットとデメリットを比較して、インボイス登録するか決めましょう。
今回は次の章でさらに詳しく記載します。
インボイス制度は、2023年10月1日から開始された消費税の仕入税額控除の新しい方式です。
正式名称は「適格請求書等保存方式」になります。
インボイス発行事業者として、取引先から信頼を得やすくなります。
事業者との取引を継続・拡大できる可能性があります。
また電子インボイスの活用により、経理事務の効率化も見込めます。
しかしインボイスとして課税事業者となれば、消費税を納入しなければならないなどのデメリットもあります。
事業者は適格請求書発行事業者として登録する必要があります。
登録した後、発行された適格請求書番号を使って、適格請求書(インボイス)を発行できるようになります。
取引先から求められた場合、インボイスを発行しなければなりません。
インボイスには登録番号や取引ごとの消費税額などの記載が必要です。
発行したインボイスの写しを7年間保存する必要があります。
また物品などを経費で購入した場合は、この購入に関するインボイスも保存が必要です。
インボイスとして課税事業者でやっていくことは、信頼性が高まります。
また大手の取引先では、インボイス登録をしていない企業とは取引をしない場合があります。
これまで通り、消費税を支払う必要はありません。消費税の確定申告も不要です。
消費税の計算や申告手続きが不要なため、事務作業の負担が軽減されます。
消費税を考慮せずに価格に設定ができるため、柔軟な価格戦略が取れる可能性があります。
なかでも一般消費者を主な顧客とする場合、インボイス制度の影響を受けにくいです。
ところがインボイス制度の導入により、事業者との取引に影響が出る可能性もあるため、慎重に検討する必要がありますあります。
個人事業主として起業する際には、これらの手続きをしっかりと行うことで、スムーズに事業をスタートさせることができます。
必要な手続きや準備をリスト化し、順番に進めることが重要です。
Back to List