2024.10.29
相続税申告が不要なケースも!注意したい税理士も紹介
相続する機会は、生涯でそれほど多いわけではありません。そこで相続税の申告に悩んでしまう方も多いでしょう。
相続税の申告は税理士に任せる必要があると感じる方も多いでしょうが、そもそも相続税申告が不要なケースも多くあります。
今回は相続税申告を自分でやる場合と、その手続きについて紹介します。
また、税理士に依頼するメリットについてもあわせて紹介しましょう。
相続税の申告が必要となるのは、主に法定相続人と受遺者です。詳しく見ていきましょう。
民法で定められている順位に従って、被相続人の遺産を相続する権利を持つ人。
例えば、配偶者や子ども、父母や兄弟姉妹などが含まれます。
受遺者は、遺贈者(被相続人)が遺言によって財産を無償で与える対象となる人です。
遺贈とは、遺言を基に財産を相続人以外の人に渡すことを意味します。
相続税の申告が不要なのは、遺産の総額が控除額を下回ったときになります。そこで気になるのが控除額の計算ですよね。
相続税の基礎控除について、理解を深めてみましょう。
相続税の基礎控除は、相続税の計算で用いられる非課税枠のこと。
つまり相続した財産の額から一定の金額まで相続税がかからない枠です。
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
たとえば法定相続人が1人の場合、基礎控除額は3,600万円。
2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円となります。
相続税の申告が必要かどうかを判断するために、以下の5つのポイントをチェックすることが重要です。
法定相続人の人数は、被相続人の家族構成によって決定します。
被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を確認することで、法定相続人に該当する配偶者や子どもの数を把握することができるでしょう。
法定相続人は、以下の順位で決定されます。
子ども、孫(代襲相続人)
父母、祖父母(直系尊属)
兄弟姉妹、その子ども(傍系血族)
上位の順位に該当する人がいない場合、下位の順位に該当する人が相続人となります。
また被相続人の配偶者は、常に法定相続人となります。内縁関係の人は法定相続人には含まれません。
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
基礎控除額の計算には上記で確認した法定相続人の数が重要です。
法定相続人には、配偶者と子ども、父母や兄弟姉妹などが含まれます。
注意点として、実際に遺産を取得しない法定相続人や相続放棄した人も、法定相続人の人数に含めます。
養子は最大2人までしか法定相続人に含まれない点も留意しましょう。
調査した財産を一覧にし、財産目録を作成します。
形式は自由ですが、不動産や預貯金、有価証券など種類別に記載することが一般的です。
財産調査を怠ると、遺産分割協議や相続税申告が正しく進まないリスクがあります。
また、新たな財産が発覚した場合、遺産分割をやり直す必要が生じる可能性もあります。
正味の遺産額を算出しましょう。
正味の遺産額 = すべての財産 – 非課税財産 – 債務等 + 一定の贈与財産
たとえば土地・建物・預貯金・現金・株式などの財産から借入金や未払金、葬式費用を差し引きます。
生命保険金や死亡退職金の一定部分(非課税限度額を超えた分)は加算されるので、抜け漏れがないようにしましょう。
基礎控除額と遺産総額の比較をしてみましょう。
遺産総額が基礎控除額以下の場合は、相続税はかからないため、申告不要です。
たとえば法定相続人が3人で基礎控除額が4,800万円の場合、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。
遺産総額が基礎控除額を超える場合は、その超えた部分が相続税の課税対象です。この場合は、相続税の申告が必要になります。
たとえば法遺産総額が5,000万円で基礎控除額が4,800万円の場合、超えた200万円(5,000万円 – 4,800万円)が課税対象となり、相続税の申告が必要になります。
相続税の申告が必要かどうかを判断するために、以下のポイントを確認することが重要です。
被相続人が死亡した時点で所有していたすべての財産をリストアップする必要があります。
以下のような財産は見落としやすいことが多いです。
タンス預金、へそくり
配偶者や子ども、孫などの名義で開設された預金口座
銀行口座の名義が異なっていても実質的に被相続人が管理していた場合、相続財産とみなされる点に注意しましょう。
株式、投資信託など
土地、建物、宅地、農地、山林など
1つあたり5万円以上の価値があるもの
ネット銀行、ネット証券、仮想通貨など
その他の特定の権利や利益
被相続人が他人に貸していたお金。返済されていなくても債権として相続財産とみなされます。
一見財産に思えなくても、このようなものがある場合は相続の対象になります。
見落とさないようにすることが大切です。
相続時精算課税制度を利用した場合、以下のポイントを理解することが重要です。
贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母などが対象です。
贈与を受けた年の1月1日において18歳以上で、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫が対象です。
一度相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税制度に変更することはできません。
基礎控除110万円と特別控除2,500万円は別々に利用できます。
一方で基礎控除額を超えた部分については贈与税が課税されることに注意しましょう。
相続時精算課税制度を適用した贈与財産は、贈与時の価額で相続財産に加算されます。
したがって、正味の遺産総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要になる可能性があります。
2024年1月1日以降の贈与から、持ち回し期間が3年から7年まで段階的に延長されることになりました。
持ち回し期間の延長は、2024年1月1日以後の贈与が対象となります。
過去の贈与にまで遡って7年になるわけではありません。
持ち回し期間の延長は、法定相続人(配偶者、子ども、父母、兄弟姉妹など)への贈与が対象です。
法定相続人以外への贈与(例:孫への贈与)は持ち回しの対象外となります。
相続開始前の3年以内の贈与は、そのまま相続財産に加算されます。
相続開始前の4年から7年以内の贈与については、総額100万円まで相続財産から控除されます。
加算される額は、その期間中の贈与額から100万円を差し引いた額となります。
相続税の特例や控除を適用して、相続税額が0円になる場合でも相続税の申告は必要です。
特例や控除を適用するためには、相続税申告書を提出する必要があるからです。
申告書に特例の適用要件や計算方法が記載する必要があり、申告をしないと特例の適用が認められないことも。気をつけましょう。
配偶者が相続で取得した財産のうち、次の金額のいずれか多い方まで相続税が課税されません。
配偶者の税額軽減額は、相続税の総額に基づいて計算され、配偶者の取得した財産の課税価格に応じて決定されます。
この制度により、多くの場合、配偶者の相続税負担が大幅に軽減されます。
特に遺産総額が1億6,000万円以下の場合、配偶者が全額相続すれば相続税が0円になることも可能です。
相続人の生活基盤を守るために、被相続人が居住や事業に使用していた土地の評価額を、最大80%減額できる特例です。
この特例を適切に活用することで、相続税負担を大幅に軽減できる可能性があるでしょう。
ただし、個々の状況に応じて適用可否やデメリットとメリットの精査をする必要があります。
相続や遺贈によって取得した財産を、相続税の申告期限までに国や地方公共団体、公益法人、認定NPO法人などに寄付した場合、この寄付した財産は相続税の課税対象から除外される特例です。
メリットとしては、寄付した財産分の相続税が非課税になるほか、相続人が寄付した場合は所得税・住民税の寄付金控除も受けられる可能性があります。
しかし以下のような注意点に気をつけましょう。
相続税がかからなくても、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺言書があれば不要ですが、遺産分割協議書には相続人の全員が署名押印し、印鑑証明書を提出する必要があります。
相続税申告には、多くの書類を収集する必要があり、これは時間コストがかかるものです。
また財産の評価や税額の計算を行う必要があります。
税理士に依頼することで、これらの手間を大幅に削減することができます。
富士市にある税理士法人和田会計なら、相続税についてもご相談を承っております。
ぜひ一度下記のフォームからお問い合わせください。
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