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コラム
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法人成り

会社設立

2024.10.04

法人成りとは?個人事業主が「法人化」で得られる魅力とボーダーライン

法人成り

法人成り(法人化)とは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、その事業を法人に引き継ぐことを指します。

 

個人事業主としてビジネスをある程度やってきているからこそ、法人化のタイミングに迷うこともあるでしょう。

 

そこで今回は法人化で得られる魅力や法人化した方が良いタイミングについてご紹介します。

 

法人化(法人成り)のタイミングやインボイスによる影響も加味してみて


法人化(法人成り)のタイミングとインボイス制度による影響について、以下のポイントを考慮することが重要です。

 

2023年10月1日から導入されたインボイス制度により、課税事業者として登録しないと取引先が仕入税額控除を受けることができません。

個人事業主の場合は法人化後も、再度課税事業者として登録する必要があります。

 

法人成りって何?

個人事業主が個人事業の形態を法人という組織に変更することを意味します。

 

主な目的は、さらに利益を得る事や事業の拡大、金融機関からの融資を受け易くすること、取引先や投資家への信用力を高めることなどです。

 

個人事業主の所得税よりも法人税が安い場合もあります。

 

まずはご相談だけでも、お気軽にお寄せください。

法人と個人事業主は手続きで何が異なるの?違いは?

個人事業主の場合は、税務署に「開業届」を提出するだけで事業を開始できます。

 

費用はかかりません。

 

一方で法人の際、法人登記が必要なのと登記手続きに費用がかかります。

 

また会計の処理にも違いがあります。

 

個人事業主の場合は、会計・経理の手続きが比較的簡単です。

 

一方で法人の場合であると会計・経理の手続きが複雑で、正確な記録が求められます。

 

これにより顧問税理士などをつける必要がでてきます。

 

法人成りと会社設立の違い

法人成りは、個人事業主が事業を引き継いで法人化することを指します。

 

個人事業主時代の資産や負債を法人に引き継ぐことです。

 

個人事業の廃業手続きが必要です。

 

会社設立とは新規に法人を設立し、事業を開始することをいいます。

個人事業主時代の資産や権利を引き継がないため、ゼロからスタートする形となります。

 

法人成りをする魅力10個!

法人成りをする際の魅力について、以下の6つのポイントを紹介します。

 

社会的に信用度がアップする

法人は登記簿謄本により企業や資本金、役員などの重要事項を確認できるため、社会的な信用度が認められます。

 

信用度の向上により、取引先が増加し、特に大口取引がしやすくなります。

 

有限責任となる

法人は有限責任です。

 

株式会社や合同会社などの場合、出資金や株式の価値までの範囲で責任を負うだけで済みます。

 

例えば、株式会社では株式購入時の出資金まで責任を負います。

 

合同会社の場合でも、社員(同行者)は出資金の額までの責任で済むのがメリットです。

 

このような有限責任により、個人の資産を守ることができます。

 

節税できる幅が広がる

所得税は累進課税方式で、最高税率は45%です。

 

一方で法人税は比例課税方式で、税率は15%〜20%前半になります。

 

この差により、特に高所得者にとっては法人税の方が有利です。

 

役員報酬(給与)は、給与所得控除が使える

法人化により、役員報酬(給与)に対して給与所得控除を適用することができます。

 

これにより、役員報酬から一定額を控除し、所得を減らすことができます。

 

ただし役員報酬は、一般的な給与所得控除ではなく、役員報酬としての特定の控除が適用されることがあり注意が必要です。

 

役員報酬の具体的な控除については、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

 

退職金を損金として計上できる

役員の退職金は、適正な額である場合に限り損金に算入されます。

 

具体的には、役員退職金の金額が確定した日の属する事業年度に損金に算入されます。

 

役員退職金の金額は、功績倍率法によって算出されたものでなければなりません。

 

退職金の金額が適正であるかどうかは、同業種で同程度の規模感の法人の役員に対する退職金の支給状況と比較して妥当な金額であるかどうかで判断されます。

 

ただし不当に高額と認められる場合には損金に算入されません。

 

欠損金の繰越控除可能期間が9年(10年)まで延びる

個人事業主の場合、欠損金の繰越控除可能期間は3年です。

 

一方で法人化したあとは、欠損金の繰越控除可能期間が9年(10年)まで延びます。

 

長期間にわたる欠損金の繰越控除により、将来的に発生する黒字との相殺が可能となるのが嬉しいメリットです。

 

このような決まりを利用することで、前年度が赤字の場合、翌年度に欠損金の繰越控除を受けることができます。

 

これにより法人税は、納税額を低く抑えることができます。

 

消費税の納付が最大2年間免除の恩恵

個人事業主としての事業所得が1,000万円を超えたタイミングで法人成りをすると、最大で2年間消費税の納税が免除されます。

 

これは個人事業主と法人では別人格として判断されるためです。

 

したがって個人事業主時代の売上高は法人化のあとに関係ありません。

 

一方で資本金が1,000万円を超えている場合、設立時から消費税の納税義務が発生します。

 

2期目以降で免除される条件を満たしていない場合、免除されませんので注意しましょう。

 

さらにインボイス登録をした場合は2年間の消費税免除を受けられないので注意が必要です。

 

事業承継できる

法人は登記によって法律上の人格が認められるため、経営者が変わっても法人自体の存在は変わらず事業が継続されます。

 

この事業承継により、企業の価値や資産が後継者に引き継がれるのは大きな魅力となるでしょう。

 

後継者が新たな視点やスキルを持ちながら事業を継承することで、企業の発展が期待できます。

 

決算月を自由に決められる

個人事業主の場合、決算月は原則として12月末で、確定申告は毎年3月15日までに提出しなければなりません。

 

これにより、年始の忙しい時期に限られた時間で確定申告の準備が必要になります。

 

法人化の後は、決算月を自由に設定することができます。

 

法人化後は、自社の業務の都合に合わせて決算月を設定することができます。

 

例えば、自社の繁忙期が避けられる時期を選ぶことで、決算業務がスムーズに進むようになるでしょう。

 

世帯収入を加味した際に税率が落ちる

法人化により、家族を役員や従業員として雇用し、給与を支払うことで所得を分散することができます。

 

たとえば社長が妻に月8万円の役員報酬を支払うことで、全体の所得税を抑えることが可能です。

 

また家族に給与を支払うことで、給与所得控除の恩恵を受けることができます。これにより、所得税が軽減されます。

 

法人成りをするときに考えたいデメリット

法人成りをする際に考慮すべきデメリットについて、以下のポイントを説明します。

設立費用がかかる

法人設立時に登録免許税や定款の認証手数料などがかかります。

 

具体的には、株式会社の場合約22万円~24万円の費用がかかるでしょう。

 

さらに法人化後も、継続的な運営費用が増加します。

 

例えば、決算書の作成や株主総会の議事録作成など、法人特有の事務作業が発生し、税理士や司法書士への依頼が必要になることがあります。

 

事務負担が増える

事業年度ごとに決算書を作成し、株主総会で承認を得る必要があります。

 

また、従業員の社会保険手続きや株主総会の議事録作成など、法人特有の事務作業が増えるでしょう。

 

法人化後は、会計や経理の手続きが複雑になります。

 

個人事業主時代に比べて、正確な記録が求められ、税務処理も複雑化します。

 

税理士などの専門家を雇う必要が出てくる

法人化後は、多くの法令に従う必要があります。

 

労働基準法や社会保険法など、専門家がなければ遵守するのが難しい法令が多く存在します。

 

税理士や社会保険労務士などの専門家を雇うことで、法令遵守を確実に行うことができます。

 

一方で税理士を顧問としてつけるのには、それなりの月額料金が必要になります。デメリットと思う方も多いでしょう。

 

赤字でも税金を払う必要あり

法人化後、赤字決算であっても法人住民税(均等割)を支払う必要があります。

 

資本金や従業員数に応じて課税されるため、赤字の場合でも納税義務があります。

 

役員報酬(給与)が毎月同じに

法人化後、役員報酬を定期同額給与として設定することが一般的です。

 

定期同額給与とは、一定の期間(例えば1ヶ月)ごとに同じ金額を支給することを意味します。

 

役員報酬の金額は、期首から3ヶ月以内に決定し、株主総会の承認を受けて議事録に残す必要があります。

 

基本的には1年間、変更ができません。

 

役員報酬を損金に計上するためには、定期同額給与として設定することが重要です。

 

不正確な給与支払いや、期首3ヶ月以内に決定しない場合、損金算入が認められない可能性があります。

 

法人成りをするタイミングは、いつがベスト?

法人成りをするタイミングについて、以下のポイントをもとに説明します。

 

所得が800万円超

個人事業主の所得税は累進課税方式で、所得が増えるごとに税率が上がります。

 

例えば、所得が800万円を超えると23%の税率が適用されます。

 

一方、法人税は比例税率で、年間所得が800万円を超えても税率が一定(15%または23.2%)であるため、税負担を軽減することができるでしょう。

 

さらに法人化により、経費を効率的に計上することができます。

 

役員報酬や給与を経費として計上することで、法人所得を減らし、税負担を軽減することができます。

 

事業拡大をしたい!社員雇用をしたい

従業員を雇用することで、事務作業を任せられるでしょう。

 

自社のリソースを本業に集中させることができます。これにより、業務効率が向上します。

 

法人化により、従業員の社会保険(厚生年金、労災保険、雇用保険)への加入が必須となります。

 

これにより、従業員の福利厚生が充実し、働きやすい環境が実現します。

 

法人成りに必要な手続きは?誰が行う?

法人成りに必要な手続きと、それを誰が行うかについて、以下のポイントを説明します。

 

(1)法人を設立する手続きを

法人成りする際には、まず会社の基本事項(商号、所在地、資本金、役員構成など)を決定します。

 

商号(社名)

会社の名前を決定します。重複しない名前を選ぶ必要があります。

 

所在地

会社の所在地を決定します。

 

発起人(出資者)

会社を設立するための出資者を決定します。

 

資本金

会社の資本金を決定します。

資本金は1円から設定可能ですが、実際の運営に必要な資金を考慮すること。

 

事業目的

会社の事業目的を決定します。

 

(2)資産を移行する

認証された定款に基づいて、資本金を発起人の個人口座に払い込みます。

 

資本金の払い込みは、預け入れではなく振り込みで行う必要があります。

 

これにより、通帳に払い込んだ発起人の氏名が記載されるため、払い込みの証明が容易になるからです。

 

資本金の払い込みは、定款の認証日以降に行うことが一般的です。

 

ただし、定款作成日よりも前に払い込みがあった場合でも、当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば問題ありません。

 

(3)個人事業の廃業手続きも忘れずに(最後の確定申告も)

法人化する際には、個人事業を廃止する必要があります。個人事業の廃止手続きは、法人化の一環として行われます。

 

個人事業の廃止手続きには、「個人事業の開業・廃業等届出書」を管轄の税務署に提出する必要があります。

 

提出期限は、事業を廃止した日から1ヶ月以内です。

 

個人事業主が法人成りをするときにチェックすべき注意点とは

個人事業主が法人化する際にチェックすべき注意点について、以下のポイントを説明します。

 

資産の移行を事前にシュミレーションしよう

法人化するにあたって以下のような資産移行を考える場合があります。

 

売買契約

資産を売買契約で移行する方法です。

 

個人事業主が資産を売却し、法人が購入する形で行います。

 

現物出資

資産を現物出資として移行する方法です。

 

個人事業主が資産を法人の資本金として出資する形で行います。

 

賃貸借契約

資産を賃貸借契約で移行する方法です。

 

個人事業主が資産を法人に賃貸する形で行います。

 

課税事業者は、廃業後の事業税の支払いを忘れずに

廃業した日から1ヶ月以内に「個人事業の廃業等届出書」を納税地である税務署に提出する必要があります。

 

これにより廃業した年の事業税の見込額を必要経費に算入することができます。

 

実際に納付するタイミングではなく、廃業年の必要経費に含められるのがメリットです。

 

さらに廃業した場合、予定納税額の減額申請を行うことができます。

 

減額申請書を提出し、予定納税額を減額することが可能です。

 

法人から個人事業主に戻ることは難しいことを覚えておく

法人から個人事業主に戻る(個人成り)ことは、複雑な手続きが伴うため、難しいと感じることがあります。

 

富士市の和田会計は法人設立にも詳しい!経営パートナーとして

富士市の税理士法人和田会計は、法人設立に関する豊富な経験と知識を持つ事務所です。

 

具体的には、定款の作成、資本金の払い込み証明書、発起人の決定書などを含む必要書類の準備もサポートします。

 

また法人設立後の税務調査にも対応できるので、法人税務顧問もお任せください。まずは一度お問い合わせください。

 

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