2024.09.10
税務調査とは?領収書事情から調査内容まで徹底解説!
税務調査は納税者にとって不安な経験ですが、税理士に依頼することで適切な対応が可能になり、リスクを軽減できます。
また税務に関する専門知識と経験を持つ税理士のサポートを受けることで、より円滑な税務調査対応が期待できるでしょう。
そこで今回は税務調査にフォーカスをして、調査官のことから税務調査で調査対象の書類までを徹底解剖したいと思います。税務調査が不安な人はぜひご覧ください。
税務調査とは、納税者の申告内容が正確かどうかを確認するために税務署が行う調査のことです。
それでは項目別に詳しく見ていきましょう。
税務調査は、納税者全員が正しく申告・納付していることを前提としつつも、ミスや故意の不正を発見・是正するために行われる重要な手続きです。
調査の目的は罰則を科すことではなく、適正な課税と公平な徴税を実現することにあります。
税務調査には、大きく分けて以下の2種類があります。
税務調査の大半を占める一般的な調査方法です。税務署職員が実施します。
通常は事前に電話で通知があり、2日程度かけて帳簿などを調べます。
「任意」とはいえ、納税者には受忍義務があり、正当な理由なく拒否すると罰則の対象となる可能性があるので注意しましょう。
国税局査察部が実施する調査です。裁判所の令状に基づいて、事前連絡なく強制的に行われます。
巨額の脱税の疑いがある場合などに実施されます。調査を拒否することはできません。
また、任意調査の中には、無予告調査という形態もあります。これは帳簿書類の隠蔽や改ざんの可能性がある場合などに、事前通知なしで行われる調査のこと。
以上、税務調査の種類は、調査の目的や状況によって選択されることを覚えておきましょう。一般的な企業や個人が遭遇するのは主に任意調査となります。
税務調査は下半期、特に7月から12月にかけて集中する傾向があります。ピークの時期は、一般的に9月から11月で税務調査が多くあることを覚えておきましょう。
一方で税務調査は年間を通して入る可能性があるため、常に適切な経理処理と記録保持を心がけることが重要です。
税務調査官は、申告内容の正確性を確認し、適正な課税を実現するために重要な役割を果たしています。
納税者との対話を通じて、税務上の問題点を指摘し、適切な指導を行うことが求められることから、国税専門官採用試験に合格し国税庁に採用された職員です。
税務調査を行う権限を持つのは、主に以下の国税職員になります。
国税調査官は、税務署に所属し、個人や法人の税務調査を担当する職員です。一般的な任意調査を行う権限を持っています。
国税局の査察部に所属し、重大な脱税事件などの強制調査を行う権限を持つ職員です。
滞納処分のための調査を行う権限を持つ職員です。
上記のような職員は、国税庁や国税局、税務署に所属しており、国税専門官採用試験に合格して採用された後、研修を経て各部署に配属されます。
税務調査官は、適正な課税と公平な徴税を実現するという職務を遂行しつつ、個々の調査案件の特性や状況に応じて調査を進めていると考えられます。
申告書に計上されていない売上がないかなどはもちろんのこと、納税者の態度や協力的かどうかも、調査の進め方に影響を与える可能性は否定できません。
このように税務調査官も人であることから、帳簿や必要な決算書類などの整合性も見られているほか、納税者に信用性があるかどうかまでも細かくチェックされています。
税務調査は怖がる必要はありませんが、事前に流れを把握し、適切に準備・対応することが重要です。
日頃から正確な経理処理と記録保持を心がけておくことで、スムーズな調査対応が可能になります。
ここでは、税務調査の一般的な流れについて理解を深めていきましょう。
税務調査における領収書チェックは、申告内容の正確性を確認する重要な手段です。
日頃から適切な経理処理と領収書の管理を行うことで、スムーズな調査対応が可能になります。
支出の内容が事業に関連するものか、金額が妥当かが確認されることは覚えておきたいポイントです。特に交際費や旅費交通費などは重点的にチェックされます。
また、法人の場合、領収書の宛名が会社名になっているかも細かく見られることを覚えておきたいですね。個人名義の領収書は私的経費として疑われる可能性があります。
税務調査官は帳簿書類の提示や提出を求めます。正当な理由がないのにこれを拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類を提出した場合には罰則が科されることがあります。
帳簿や関連書類は、白色申告の場合で7年間、法人の場合で10年間の保存が必要です。
売上を過少に申告していないかはチェックされるほか、実際には発生していない経費を計上することで、課税所得を減らす手法がチェックされます。
経費の内容や金額が適正かどうかが確認されるので気をつけましょう。
このほかにも売上や経費の計上時期を意図的にずらすことで、利益を操作する手法が疑われます。特に期ずれが発生すると、利益が正しく計算されず、納税額にも影響を与えます。
また仕入などをするビジネスの場合は、棚卸資産を過少に計上し、実際の資産を隠す手法もチェックされます。簿外資産の有無が確認されますので、こちらも正確に管理するようにしましょう。
さまざまな観点から不正が発見された場合、修正申告や追徴課税が求められることがあります。
税務調査では、帳簿や領収書の内容だけでなく、筆跡なども確認されることがあります。
たとえば手書きの領収書の場合、筆跡が同じであれば、同一人物が複数の領収書を作成した疑いが持たれることがあります。これにより、架空の経費計上が疑われることがあります。
元調査官からのポイント
意外と見られてるのがトイレです!
税務調査では、調査官が事務所内、工場、倉庫、トイレなど様々なところを見ています。
とくにトイレが汚れている場合、調査官は「帳簿にもいい加減なところがある」と思い調査そのものが長引く可能性があります。
日頃から清掃をこまめに行い常に清潔を保ちましょう。
帳簿に記載された取引日と、請求書や領収書などの原始資料の日付が一致しているかを確認します。不一致があると、取引の実在性や計上時期の適切性が疑われる可能性も。
また決算期末近くの取引、特に大口の売上や経費計上については、慎重にチェックされます。期ずれによる利益操作の可能性がないかチェックされることは覚えておきましょう。
売上の記入漏れは、直接的に課税所得を減少させるため、税務調査で最も重点的にチェックされる項目の一つです。
意図的な売上除外と判断された場合、重加算税が課される可能性があります。これは通常の追徴税額に加えて課されるペナルティです。
取引先への反面調査なども実施されることを覚えておきましょう。架空計上が疑われる場合は、より詳細な調査が行われる可能性があります。
日頃から正確な記帳と適切な証憑書類の管理を行い、取引の実在性や経済合理性を説明できるようにしておくことが重要です。
将来の除却費用が適切に資産計上されているか、本来資本的支出として資産計上すべきものを修繕費として経費処理していないかなどの観点も含めて、税務調査官は帳簿をチェックします。
とくに資産計上の漏れは、利益を過少に計上することにつながるため、税務調査では重点的にチェックされます。
適切な会計処理と記録保持を行い、必要に応じて税理士等の専門家に相談することが重要です。
以下で説明する書類は通常3年分程度が調査対象となります。一方で状況によっては5年分や7年分を求められることもあります。
さらに税務調査官は、これらの書類を基に売上や経費の計上が適切に行われているか、不正な処理がないかなどを確認します。
適切な記帳と書類の保管を日頃から心がけ、調査の際にはこれらの書類をスムーズに提示できるよう準備しておくことが重要です。
税務調査官は、これらの決算書類を詳細にチェックし、以下のような点に注目します。
・帳簿との整合性
・前年度との比較で異常な変動がないか
・業界標準や同業他社との比較で不自然な数値がないか
・税法上の処理が適切に行われているか
適切な決算書類の作成と保管は、円滑な税務調査対応のために非常に重要です。
とくに決算書の作成においては、会社法、会社計算規則、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準などに従って正確に作成することが求められます。
以下のような書類も、税務調査時には調査対象になります。
・会計帳簿
・総勘定元帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳、買掛帳
・固定資産台帳
整合性が保たれているほか、スムーズに必要な情報を取り出せて、きちんと説明できるかが求められます。
取引の実在性や金額の正確性を証明する重要な証憑です。経費の適正性を確認するための基本的な書類として扱われます。
請求書は以下のようにチェックされます。
・日付、宛名、金額、内容などが正確に記載されているか
・帳簿の記載内容と一致しているか
・取引の実態と合致しているか
架空の請求書や改ざんした請求書の使用は厳しく罰せられます。請求書の内容と実際の取引内容が一致していることが重要です。
契約書の日付と実際の取引開始時期が整合しているかや実在する取引先であるかを確認します。また契約書に必要な収入印紙が貼付されているかまでチェックされることも。
とくに法人と個人(代表者とその親族)との取引に関する契約書の内容は、詳細に確認します。
税務調査では、パソコン内のデータが確認される可能性が高いです。これは任意調査でも行われることがあります。
たとえば以下のような箇所は念入りにチェックされるので、必要時に見てもらっても構わない透明性を確保しておくことが重要です。
・会計ソフトの内容
・請求書や契約書などの保存データ
・メールの履歴
・エクセルなどの表計算ソフトのデータ
・操作履歴や削除したデータの有無
税務調査官は、納税者が取引のある複数の金融機関の口座情報を確認することも。
主に申告されていない口座がないかチェックされます。さらに納税者本人だけでなく、家族や関係者の口座も調査対象となる可能性があります。
いくつかの対策を行うことで、税務調査における手間を大幅に減らし、スムーズな対応が可能になります。それでは実際に見てみましょう。
会計ソフトや法人税申告ソフトを利用することで、計算ミスや転記ミスを防ぎ、申告書の作成がスムーズになります。
口座や法人のクレジットカード自動連携などを用意している会計ソフトも近頃は多数出回っております。これを用いることで、記帳漏れを防ぐことが可能になるでしょう。
税理士に申告書の作成を依頼することは、税務調査への備えとしても有効です。税理士は税法に精通しているため、申告書の正確性が高まるのです。
税務調査で指摘されるリスクを低減できます。
税務調査が入った場合、税理士なら専門的な立場から対応できます。また経営者は本来のビジネスに集中できます。
税理士は、税務調査官とのコミュニケーションを円滑に進められます。
数日間や数ヶ月で、一般の人がさまざまな税務に関わる専門用語を理解し、きちんと説明できるようにするのは無理があるでしょう。
たとえ税務調査が入ることが分かってから、あらゆる知識を身につけたとしても、当日に緊張してしまい上手く説明できないことも考えられます。
税務調査に関して、よくある質問をまとめてみました。
再発行をしてもらえる場合は、そのような対応をとるのが一番良いでしょう。
再発行が難しい場合、誠実な対応と代替証拠の提示により、多くの場合は経費として認められる可能性があります。
ただし、金額が大きい場合や不自然な点が多い場合は、経費として認められない可能性もあるため注意が必要です。
納税者本人ではなく、その取引先や関係先に対して行われる調査です。
納税者への直接の調査だけでは十分な情報が得られない場合には、このような手段も考えられるので注意が必要です。取引の実在性や金額の正確性を確認するために行われます。
取引先や銀行、従業員から家族など、納税者の事業活動に関連するあらゆる機関や人が対象となることを覚えておきましょう。
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