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2024.10.29

副業で20万以下も確定申告が必要?無申告のリスクや青色と白色の違いも解説

 

近頃話題になっている副業。正社員でも副業を許す会社が増えているほか、働き方改革で残業が減ったぶん、副業で活躍される方が増えています。

 

副業の所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告は原則として不要です。

 

しかし幾つかの注意点があるので、これをふまえていないと様々なリスクが伴います。

 

今回は副業にフォーカスして税金について知識を深めてみましょう。

 

副業で得た所得はどうやって申告するの?

副業で収入を得たら気になるのが、その収入をどのように申告するかです。まずはこのことについて触れていきましょう。

 

副業で得た所得の申告方法は以下のとおりです。

 

雑所得と事業所得

まず副業の収入は、給与所得、事業所得、雑所得などに分類されます。

 

雑所得

 

他の9種類の所得(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得)に該当しない所得

 

 

多くの副業収入が該当するものです。収入金額から必要経費を引いた金額が所得額であり、青色申告の適用ができません。損益通算や純損失の繰越控除も不可となります。

 

事業所得

 

事業主が独立して営む事業から得た所得です。農業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などが該当します。

 

収入から必要経費を引いた金額が所得額であり、青色申告が適用可能です。

 

さらに損益通算や純損失の繰越控除も可能です。帳簿の保存が必要となる点には注意をしましょう。

 

主な特徴としては、以下の通りです。

 

  • 継続性がある
  • 安定した収入が得られる
  • 相当な時間を割いて取り組んでいる

 

雑所得と事業所得の判断は、事業の継続性や費やす時間、収入の安定性などを総合的に考慮して行われます。

 

副業の場合、多くは雑所得に分類されますが、規模が大きく継続的な場合は事業所得になる可能性があります。

 

ただし、帳簿の保存がない場合は雑所得として扱われるため、記録をしっかりと残すことが重要です。

 

帳簿の保存がない場合は雑所得として扱う

事業所得として認められるためには、帳簿の作成と保存が必要です。

 

帳簿がない場合、事業所得ではなく雑所得とみなされる可能性が高くなります。

副業の所得が20万円を超えて確定申告しない場合はどうなるの?

副業の所得が20万円を超えているにもかかわらず確定申告をしない場合、以下のようなペナルティが生じる可能性があります。

 

無申告加算税に該当すれば税額が15~20%加算

無申告加算税に該当すると、以下のように税額が加算されます。

 

納付すべき税額が50万円以下の部分

15%加算

 

納付すべき税額が50万円を超える部分

20%加算

 

ただし、以下の場合は軽減措置があります。

 

税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合

5%に軽減

 

調査の事前通知後に期限後申告をした場合

50万円以下の部分:10%

50万円超の部分:15%

 

また、2024年1月1日以降に法定申告期限が到来する税金については、以下のように改正されます。

 

50万円以下の部分:15%

50万円超300万円以下の部分:20%

300万円超の部分:30%

 

無申告加算税は、本来納めるべき税金に加えて課されるペナルティです。確定申告を適切に行うことで、このような負担を避けることができます。

 

延滞税になると日数で税額が加算される

延滞税は納付期限を過ぎた日数に応じて税額が加算されていきます。主なポイントは以下の通りです。

 

計算方法

延滞税 = 未納税額 × 延滞税率 × (延滞日数 ÷ 365日)

 

延滞税率

納期限の翌日から2ヶ月以内:年2.4%(2024年現在)

納期限から2ヶ月経過後:年8.7%(2024年現在)

 

日数計算

法定納期限の翌日から完納日までの日数で計算されます。

 

加算の仕組み

日数が増えるほど、延滞税の金額も増加していきます。

 

軽減措置

自主的な申告や納付など、状況によっては軽減措置が適用される場合があります。

 

端数処理

計算結果の100円未満は切り捨てられます。

 

延滞税は日々増加していくため、できるだけ早く納付することが重要です。

 

納付が遅れるほど、本来の税額に加えて支払う金額が大きくなってしまいます。

 

会社員で確定申告が必要なケースはどんなケース?

以上をふまえて会社員でも以下のようなケースでは確定申告が必要になります。

 

年収が2,000万円を超えている

年収2,000万円を超える給与所得者は、会社での年末調整の対象外となります。年末調整ができないため、個人で確定申告を行う必要があります。

 

また年収2,000万円を超えると、配偶者特別控除や住宅ローン控除などの一部の控除が受けられなくなる点にも注意が必要です。

 

所得税の累進課税制度により、より高い税率が適用されます。

 

健康保険料と厚生年金保険料には上限があるため、一定以上は上がりません。

 

年収2,000万円の場合、手取り額は年間約1,302万円、月額約109万円程度となります。

 

確定申告を適切に行うことで、法的な義務を果たすとともに、適切な税額の納付や還付を受けることができます。

 

高額所得者は特に税務上の注意が必要なため、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

2か所以上から給与を得ており年間で20万円を超えた

2か所以上から給与を得ており、その合計が年間で20万円を超えた場合、以下のような対応が必要になります。

 

次のような両方の収入を合算して確定申告書を作成します。

 

主たる給与

通常、収入が多い方の給与

 

主たる給与の勤務先でのみ年末調整を受けます。

 

従たる給与

収入が少ない方の給与

 

 

従たる給与の勤務先では年末調整を受けません。

 

 

確定申告は通常、翌年の2月16日から3月15日までに行う必要があるのを覚えておきましょう。

 

 

手間が増えているようにも見えますが、確定申告を行うことで、適切な税額計算が行われ、場合によっては還付を受けられる可能性もあります。

 

白色にすべきなの?副業の所得が20万円超なら青色申告?

副業の所得が20万円を超えた場合、青色申告と白色申告のどちらを選択するかは状況によって異なります。詳しくみていきましょう。

 

簡易的な帳簿でラクラク確定申告!白色申告

白色申告は、青色申告と比べて簡易的な帳簿で確定申告ができる方法です。

 

以下に白色申告の特徴とメリットをまとめます。

 

簡易的な帳簿記録

  • 単式簿記による記帳が可能
  • 収入と支出を日付順に記録するだけでOK
  • 複雑な会計知識が不要

 

提出書類が少ない

  • 確定申告書と収支内訳書の提出で済む
  • 青色申告決算書の作成が不要

 

事前手続き不要

  • 青色申告承認申請書の提出が不要
  • 開業時から即座に利用可能

 

記帳の負担が軽い

  • 取引ごとの詳細な記録は不要
  • 収支の概要を把握できれば十分

 

副業や小規模事業に適している

  • 年間所得20万円以下の副業に向いている
  • 簡易な経理で済む小規模事業者に適している

 

控除額は10万円

青色申告特別控除はないが、経費の10万円控除は可能

 

確定申告ソフトの活用

簡単な入力で帳簿や確定申告書類を作成できるソフトがある

 

白色申告は、経理や会計の知識が少なくても取り組みやすい確定申告方法です。

 

特に副業や小規模事業を始めたばかりの方にとっては、手軽に始められるメリットがあります。

 

ただし、所得が増えてきた場合は青色申告への切り替えを検討するとよいでしょう。

 

手間だけではない!青色申告の魅力

青色申告には手間はかかりますが、それ以上の魅力があります。

 

具体的には以下のようなポイントです。

 

最大65万円の特別控除

青色申告の最大のメリットは、所得から最大65万円を控除できる青色申告特別控除です。

 

これにより大きな節税効果が得られます。

 

家族従業員の給与を経費に(青色事業専従者給与)

青色事業専従者給与制度により、家族従業員への給与を必要経費として計上できます。

 

赤字の繰越控除

事業で赤字が出た場合、3年間繰り越して翌年以降の黒字と相殺できます。

 

これにより長期的な税負担の平準化が可能です。

 

少額減価償却資産の特例

30万円未満の固定資産を即時に全額経費計上できます。

 

家事関連費の経費算入

自宅の一部を事務所として使用している場合、家賃や光熱費の一部を経費にできます。

 

正確な経営状況の把握

複式簿記による記帳で、より正確に事業の財務状況を把握できます。

 

税務調査への対応力向上

詳細な帳簿があることで、税務調査にも適切に対応できます。

 

これらの魅力を活用することで、手間以上のメリットを得られる可能性が高いのが青色申告の特徴です。

 

会計ソフトの活用で手間も軽減できるため、多くの個人事業主にとって青色申告は有効な選択肢となります。

 

青色申告をしたいのなら青色申告承認申請書を出そう

青色申告をするためには、青色申告承認申請書の提出が必要です。

 

提出期限

  • 原則として、青色申告をしようとする年の3月15日まで
  • その年の1月16日以降に新規開業した場合は、開業日から2か月以内

 

提出先

所轄の税務署

 

提出方法

税務署の窓口に直接提出

 

郵送で提出

e-Taxを利用してオンラインで提出

 

必要書類

青色申告承認申請書

開業届(新規開業の場合)

 

期限内に提出しないと、その年は自動的に白色申告となる点に注意が必要です。

 

一度承認されれば、毎年提出する必要はありません。

 

サラリーマンが副業で得た収入を確定申告する時のポイント

サラリーマンが副業で得た収入を確定申告する際の主なポイントは以下の通りです。

 

  • 副業の所得が20万円を超えるかどうかの確認
  • 副業の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要
  • 20万円以下でも、住民税の申告は必要

 

複式簿記にて記帳

青色申告を選択する場合、複式簿記による記帳が必要です。

 

最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳が条件となることが理由です。

 

事業の財務状況をより正確に把握できるほか、もしもの税務調査への対応力も向上します。

 

期限内に確定申告をする

通常は2月16日から3月15日まで、土日祝日の場合は翌営業日が確定申告期限となります。

 

本業の兼ね合いもみて、忘れないように準備しておきましょう。

 

必要な書類がすぐに手に入らないことも考えて手配もなるべく早くにしておくことが大事です。

 

  • 本業の源泉徴収票
  • 副業の収支内訳書
  • マイナンバーカードまたは通知カード

 

マイナンバーカードがある場合、国税庁のe-Taxで24時間いつでも申告ができます。

 

添付書類の提出が省略できる場合もあるので確認しておきましょう。

 

期限を過ぎると無申告加算税などのペナルティがあります。

 

また混雑を避けるため、期限直前は避けることが大切です。

 

不明点があれば税務署に相談する時間的な余裕を持つことが求められます。

 

サラリーマンが気にしたい副業の注意点

副業の税金に関する主な注意点は以下の通りです。

 

事業にまつわるものでないと経費として認められない

適切に経費を計上することで、副業の税負担を適正に抑えることができます。

 

しかし事業に関連しない支出は経費として認められません。経費として認められるためには、以下のポイントが重要です。

 

例えば、以下のような支出は通常経費として認められません。

 

  • 完全に個人的な趣味や娯楽に関する支出
  • 家族との食事代や旅行費用
  • 事業と無関係な高級品の購入
  • 罰金や科料

 

経費として認められるかどうか判断に迷う場合は、税理士に相談することをおすすめします。

 

適切な経費計上は、正確な所得計算と適正な納税につながります。

 

事業所得として認められる事業をしよう

事業所得として認められるためには、以下のような点に注意する必要があります。

 

継続性と安定性がある

  • 相当期間にわたって継続的に事業を行う
  • 安定した収入が得られる見込みがある

 

事業規模

  • 一定の売上や利益がある
  • 本業と同程度の時間や労力を費やしている

 

事業実態の整備

  • 事業用の設備や備品を整えている
  • 事務所や店舗などの事業拠点がある

 

専門性と独立性

  • 専門的な知識やスキルを活かしている
  • 自己の計算と責任で事業を行っている

 

社会的認知

  • 一般的に職業として認知されている
  • 事業者として取引先や顧客と関係を築いている

 

帳簿の整備

  • 適切な帳簿をつけて収支を管理している
  • 青色申告の承認を受けている

 

これらの要素を総合的に満たすことで、事業所得として認められる可能性が高くなります。

 

ただし、副業の場合は雑所得とみなされやすいため、事業実態を明確に示せるよう準備しておくことが重要です。

 

不明な点は税理士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

 

会社は副業がOKか

副業がまだ禁止されている企業も多くあります。

 

必ず副業する前には、就業規則などをはじめ下記を確認しておきましょう。

 

就業規則の確認

  • 副業が禁止されていないか
  • 副業に関する規定や制限がないか

 

副業の許可制・届出制の有無

  • 会社に事前の許可や届出が必要かどうか
  • 必要な場合は、適切な手続きを踏む

 

副業の内容と本業との関係

  • 競合他社での副業など、利益相反にならないか
  • 本業に支障をきたさない内容か

 

労働時間や健康管理

  • 過重労働にならないか
  • 本業のパフォーマンスに影響しないか

 

投資するなら一定の事業的規模を満たした不動産投資をしよう

不動産投資で事業的規模を満たすと、青色申告特別控除の最大65万円が適用可能になります。

 

また青色事業専従者給与を経費として計上できるようになります。

 

さらに赤字が出た場合に損失の繰越控除が可能です。

 

事業的規模と認められる基準は以下の通りです。

 

  • アパート・マンション
  • 10室以上
  • 独立家屋(戸建て)
  • 5棟以上
  • 駐車場
  • 50台分以上(5台で1室換算)

 

このような基準を満たすと、原則として事業的規模と判断されます。

 

近頃話題の不動産投資ですが事業的規模の不動産投資は節税効果が高い一方、管理の手間も増えます。

 

自身の状況を踏まえて検討し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

インボイス登録をした場合は副業所得20万円以下でも消費税の申告をする

インボイス登録をした場合、副業所得が20万円以下であっても消費税の申告が必要になります。

 

課税事業者は、売上高に関わらず消費税の確定申告が必要です。

 

これにより副業所得が20万円以下でも、消費税の申告義務は免除されません。

 

消費税の申告・納税が必要になるため、実質的な収入が減少する可能性があります。

 

このようなデメリットを加味し、取引先の状況や事業規模を考慮してインボイス登録をするかどうか慎重に判断する必要があります。

 

副業をするなら不正がないように!

副業をするなら会社の規定や申告のルールにのっとり、不正がないようにしたいものです。

 

せっかく始めた副業も税務調査で引っかかったりすれば、かえって足かせになるでしょう。

 

副業は本業あってのもの。本業に集中する時間もしっかりとれるように日頃から正確な帳簿付けを心がけたいものです。

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